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食事の誘いは
『急でごめん』と前置きを添えて今日の夕食だった。
私の用事と言えば“実家でご飯を食べること”くらいだが、
気が進まない。
けれど、
『ずっと行きたかった店の予約が急に取れて』という、
彼のはしゃいだ様子の文面から、さらに断りにくい状況だった。
それに加えて、
今後のことを考えると、
彼が同僚の紹介、というのも、
私が何かと断りにくい要素でもあった。
同僚の顔を潰すわけにもいかないし、
4人で食事をした時は、
今後はダブルデートもありだとか、そんな話題も上がっていたのだ。
一人で考えていても答えが出ない。
私は仕方なく由奈に電話した。
ただし、この時はまだ親友にさえも桜井健吾のことは話さなかった。
「誰かに気を遣って鈴が誰かと付き合うなんて、あり得ないでしょ?」
由奈は私の迷いや不安を一掃するように断言した。
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