第3話【過去】無料

過去 2 #2

夏休みが終わると、
選手権の地区予選の日程、組み合わせが決定した。

８月末に第一戦を迎える。

私は夏休みの間に１２本のお揃いのミサンガを作った。

選手のお守りにユニフォームの色に合わせた青と白のストライプのミサンガ。

休み明けになって１１人一人一人の腕にミサンガを結んだ。

試合直前にそうしなかったのは選手のプレッシャーになることを避けたかったからだった。

いつもの練習後に冗談交じりでみんなの腕を借りた。

そして、最後の一本を哲くんが私に結んでくれた。

「鈴ちゃん、ありがとう。絶対頑張るから」

哲くんはこの夏さらに日焼けをして、
白い歯が一段と光って見えた。