過去 2  #2

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「ごめんね」 謝る私の受話器の向こうで、 健吾くんが胸をなでおろしているように思えた。 「そっか……なんだ。そうだったのか……。なんだよ、早く言えよ……って、言えなかったんだよな」 健吾くんが笑って私も笑う。 近況を話して少し話が盛り上がった頃、 健吾くんか切り出した。 「……リンは……彼氏いるの?」 その言葉に私の表情が一気に堅くなる。 「…うん。」 ……たった、一週間前から。 「……そっか。そうだよな」 そこから言葉が続かなかった。 私はこの時、 「健吾くんは?」 そうは聞かなかった。 聞けなかった。 健吾くんに彼女がいてもいなくても、 その答えがどちらでも、 なんとなく怖かったから。
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