第3話【過去】無料

過去 2 #2

そして、夏。

長い夏休みには地元に人が集まる。

私はみんなとの再会を楽しみにしていた。

中でも、お盆に行なわれる毎年恒例のサッカー部のOB大会は待ち遠しかった。

去年は仲の良かった一年先輩のメンバーはたくさん参加してくれた。

その中に純也さんはいたけれど、健吾くんの姿はなかった。

あの時は純也さんが来てくれた喜びよりも、
健吾くんが来なかった寂しさの方が強かった。

心のどこかでは健吾くんが私に会いに来てくれるんじゃないかって、期待していたのかもしれない。

純也さんとの久しぶりの再会には浮き立つものは何もなかったけれど、心が身軽だった分、あの頃よりもずっと自然に話すことが出来た。

今年は純也さんも健吾くんも関係なく、
ただただ哲くんたち同窓生との再会が楽しみだった。

……みんな来てくれるだろうか。

私は遠足を待ちわびる小学生のようだった。