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その文字を追いながら、由奈の存在を忘れそうだった。
……あの頃のまま変わらない……
それがどういう意味なのか、
全部を理解できなかった。
ほんの少しがっかりもした。
むしろ、変わってるって言われた方がうれしかったのかもしれない。
しかし、私の気持ちをそこまで沈ませなかったのは健吾くんの最後の言葉。
……俺、ちゃんと禁煙してるよ……
その子供っぽいフレーズに、
私は甥っ子の拓真のことを思い出した。
ママに褒められたくって必死で片付けをした後、
ママに駆け寄ってかたことの言葉で得意げに言う。
『ちゃんとできたよ』
ママにたっぷり頭を撫でられて、
『よく出来たね』
そう言われた拓真は少しはにかんだ笑顔でママに抱きつく。
そんな光景が頭に浮かんだ。
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