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店に入ってもう3時間になろうとしていた。
……そろそろ帰ろうかな。
チームメイトではあるけれど、やっぱり私は女。
女抜きで男同士の方が話しやすいこともあるだろうし、
二次会の場所も選びやすいだろう。
私は帰りを切り出した。
「えー、鈴ちゃんもう帰っちゃうの?」
社交辞令の一言に笑って返す。
「後は男同士で楽しみなよ。私は十分楽しんだから。今日はありがと。みんな良いお年をー!」
私は財布から五千円札を抜き出してテーブルに置いた。
こんなにいいよと背中から声がかかるのをかわして、
靴を履いた後にもう一度手を振った。
カウンターのご主人にも挨拶すると、
店の主はあの深いしわで優しく私を送り出してくれた。
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