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お酒と暖房で汗ばむほど暖かかった店から外に出ると、
一瞬で冷気が私を包み、真冬の世界に私を連れ戻した。
心配していた雪はまだ降っていなかったものの、
冷え込みが増したように感じた。
意識的に空に息を吐き出して、
その白さで寒さを計る。
「寒い。寒い」
ポケットに手を入れたまま駅までの道を歩き始めた。
お店から家までは電車でひと駅。
行き交うタクシーの誘惑に負けそうになるけれど、
なんとなく電車に乗りたくて歩みを速めた時だった。
「鈴ちゃん」
背中から駆け寄る声に、
丸まっていた背中がぎしぎしと音を立ててまっすぐに伸びた。
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