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「……そんな顔しないでよ。参ったな。びっくりするとは思ったけど、そんな顔されたら俺の方がショックだよ」
呆れるように笑う純也さんにも
私の心も顔も何の反応もしなかった。
「ごめん。こんな言い方、フェアじゃなかった。アイツ……一度結婚を決めたんだ。招待状も届いた」
純也さんの意味深なものの言いように、私は眉をひそめて顔を上げた。
「二年前だよ。二年前の夏、本当ならアイツは結婚するはずだった」
「するはずだった……?」
純也さんは頷いた。
「破談になったんだ。理由は詳しく聞いてない。事がことだけに、俺たちから根ほり葉ほり聞き出すわけにもいかないし。アイツだって言いたくなかっただろうから」
二年前……。
私が知らない健吾くんだった。
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