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コーヒーショップはまもなく閉店になろうとしていた。
純也さんがもう一杯だけ飲もうと言って、
お代わりのアメリカンを頼み、
私にはココアをすすめた。
私は黙って頷いたけど、
本当は家に帰って熱いほうじ茶が飲みたかった。
甘ったるいココアなんて、喉を通りそうになかった。
それに、私のカップには冷たくなったカフェオレが半分以上残っていた。
2杯目のアメリカンとココアが運ばれてくる頃には店には私と純也さんだけになった。
「あの頃、俺に向けてくれた鈴ちゃんの視線と笑顔と照れた顔。あの頃の全部を取り戻したい」
純也さんの言葉と笑顔に、
私の気持ちは全く追いついてこなかった。
連絡先を交換したいと言われ、
無気力になった私は断り方もわからず、
スマホを差し出すようなかたちで連絡先を交換した。
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