乾杯

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健吾くんから連絡がないことをいいことに、 時間をかけてメイクした。 最後に会ってから4年以上が経ち、 その年月が私をどんな風に変えたのかはわからないが、 健吾くんの目に映るなら少しでも女になっていたい。 いつもは引かない控えめなアイラインと念入りに塗ったマスカラが私の目をいつもより少しだけ大きく見せて、 瞳の奥が早く健吾くんを映したがっていた。 考え事をしながら化粧をしていたので、 髪の毛を整えたころには3時を過ぎていた。 ちょうどその時、スマホが震えた。 慌ててスマホをを掴み取ったが、画面に表示された名前は母だった。 母は何も悪くないのに「もう」なんて言って、スマホを手放しかける。 しかし、口うるさい母の性格そのままに、 スマホの音はなかなか鳴り止まず、私はしぶしぶ電話に出た。 どの道、母には連絡しなければならなかったのだから。
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