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「鈴? 今日は何時に来るの? 早く来て準備手伝ってくれるんでしょ?」
「あ、うん、ごめん。今日なんだけど……もしかして行けなくなるかもしれない」
「ええ? どうして? 何なのよ急に」
「……ごめんね。こっちに帰って来る友達が今日しか会えないの。しばらくぶりだからどうしても会いたいの。ごめんね。明日には必ず帰るから。本当にごめんね」
早口で話す私に母はブツブツ文句を言いながら電話を切った。
私だって毎年、大晦日の母の料理は楽しみにしている。
しかし、今年ばかりはその料理を断念するしかないのだ。
心の中で母に「ごめんね」ともう一度謝ると、
再びスマホが振動し始めた。
短い振動は
健吾くんからだった。
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