乾杯

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寝そべってみたり、座ってみたり。 姿勢でさえも落ち着かない。 ふと、意味が理解できずに同じ文章を読み返すことも何度かあったが、思いのほか推理小説のページは進んでいた。 私の予想もしなかった事件が起こり、 思い描いていた展開とは全く異なった展開となってきた。 これから先のストーリーが気になりつつも、 一時間ほどで本を閉じてテレビをつけた。 推理小説の続きは、 落ち着いている時に残りを一気に読み切ってしまうつもりだった。 テレビはどこも年末の特番ばかりで、 私はそれらを素通りすると、 見覚えのある連続ドラマの再放送にチャンネルを合わせた。 あれから健吾くんからの連絡はなく、 時間は健吾くんが言った6時まで一時間をきっていた。 帰省というものに無縁な私は道路情報にも疎(ウト)かったが、 年末年始の渋滞くらいは知っている。 状況は気になるものの、 運転中だと思うとこちらから連絡するのは気が引けた。
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