乾杯

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テレビに顔を向けたまま寝転んでこたつの布団を引き寄せる。 ドラマは学園もののラブコメ仕立ての恋愛ものだった。 いつからだっただろうか。 二十歳を過ぎたあたりから、学園もののドラマには興味もなくなった。 自分とあまりにもかけ離れた設定が面白みを欠くようになったからだった。 久しぶりに覗いたその世界は、 オシャレな制服や破天荒すぎる授業風景が現実味を欠いているものの、うらやましいなと思ってしまった。 女子高生のヒロインと相手役の男の子が並んで歩くシーンや見つめ合う瞬間。 過去に私が夢見た場面を目にすると、 『あの頃に戻りたい』 などと頭をよぎる。 だけど、戻らないとわかっているから 胸が痛い。 誰もが笑ってキュンとするドラマを見ながら、 こんなにも切なくなる視聴者は きっと、私くらいのものだろう。 こたつの上のスマホを手に取り、 両手で握って胸に押し当てた。
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