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寝転んだまま少しうとうとしかけた時だった。
胸の位置でスマホが震える。
初めて表示される
【桜井健吾】
私は慌てて電話を受け、同時にテレビを消した。
「もしもし?」
「リン? ワリい。結構混んでてまだかかりそうだわ。後……一時間くらいかなぁ。お腹空くだろ? 先に何か食べてていいいから。ごめんな。俺から言い出したのに」
「そんなのいいよ。とにかく気をつけて。私なら何時でもいいの。お腹も空かせとくから」
「マジでごめんな、ありがと。俺も考えとくけど、行きたい店、考えといて」
「うん。わかった」
「西須原の駅まで行くから。そこで待ち合わせな。そっからは電車かタクシーで移動しよう。せっかくだからリンと飲みたいし」
「……うん。待ってる」
「ん、後でな」
「うん、後で」
自分の鼓動の音とは逆に、電話を静かに切った。
後一時間……。
健吾くんが近づいていると思うだけで緊張が増した。
駅には安い駐車場もあるし、ちょうどいい。
胸に手を当て速まる鼓動を感じながらつけっぱなしのテレビに目をやると、
ドラマは終わり、エンディングの歌が流れていた。
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