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「……嘘」
「嘘って、思われても仕方ないよね。俺、他の子とつき合ったりしてたし」
純也さんはそこで初めてコーヒーをすすった。
どこかで聞いたことがあるセリフだと思ったら、
哲くんも同じようなことを言っていた。
だけど私には少しも理解できない。
「好きな人がいるのに、別の人と付き合うとか……私には理解できません」
「……そうだよね。普通ならそんなことしないし、むしろそんな奴、軽蔑するよね」
私は次にくる言葉を予想していた。
『男にはいろいろあるんだよ。』
その言葉が頭に浮かぶと、苛立ちが込み上げた。
いったいどんな事情があるというのだ。
「親友が鈴ちゃんのこと好きだって言ったら、俺はどうしたらよかったんだろう? 俺も好きだって言えばよかったのかな。もしそうしていたら、あの時俺たちは両想いだったんだよな。……惜しいことしたよ」
……親友。
健吾くんのことだ。
純也さんが私のこと好きだったなんて、
そんなの今さら言われても
うれしいなんて感情は沸いてこない。
哲くんも、純也さんも
よくわからないよ……。
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