夢か現実か、それとも過去か

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「俺たち、ちゃんとつき合おう。大切にするから」 行為の後、服を身に着けると 純也さんはそう言って改めて私を抱きしめた。 この期に及んですぐに返事が出来ないでいると、 彼は私の髪をいたわるように優しく撫でた。 「今は俺に気持ちがなくてもいいよ。ゆっくりでいいんだ」 純也さん、 その言葉は涙の治まった私を…… また泣かせるよ。 私は涙がこぼれる前に、 純也さんの胸に顔を埋めた。 健吾くん…… 彼の名前が出てきそうになって、 私はそれを振り払うように彼の名前を呼んだ。 「純也さん……」 胸元で純也さんのセーターを握りしめた。 「鈴ちゃん……」 彼は私の背中を撫でながら、 私の頭にキスをした。 「“鈴ちゃん”か……。なんか、もう“ちゃん”付けで呼んでる場合じゃないな」 純也さんがクスリと笑う。 どういう意味かと、顔を上げると、 彼は私の顔を覗き込みながら微笑んだ。 「あの頃とは違う……すっかり“大人の女性”だから」 その言葉に、 私も彼に小さく微笑み返した。 そうだね。 私…… 私たち、 大人になったんだよね。
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