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明日の緩い予定には気を遣うこともなく、
こんな夜は何をするわけでもなく気付けば夜更かしをしている。
私は職場の美和ちゃんの言葉を思い出し、
バレンタインのプレゼントを考えなければとネットサーフィンに勤しんでいた。
しかし、サイトを覗くとメンズものを見ていたはずなのに、
いつの間にかレディースものを追ってしまい、
先程から全く決められていない。
でも、思えば、
この冬はコートもブーツも新調したので、
欲しいものは大してない。
ただぼんやりと見ているだけだ。
あのコートは……
あれから、純也さんの前では着ていない。
着れば彼が『かわいい』と言ってくれるのがわかっているから。
……なんて。
あれは、特別な日……
……よそ行き。
……汚したくないだけだけど。
ずっとスマホを見ていたので少し肩が凝り、
首と肩を動かしてほぐしながら、
キッチンに立った。
そしておもむろに冷蔵庫を開け、中を覗く。
飛び出してきた冷気に身震いしながら
私はゆっくりと手を伸ばし、
冷えたグレープジュースを手に取った。
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