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私は哲くんの言葉を思い出していた。
『男にはいろいろあるんだよ』
好きな人でもない人と付き合うなんて理解出来ないと、
哲くんや純也さんを半分軽蔑さえしていたのに、
今なら少し……わかるかもしれない。
天秤にかけたその一方が傾き始めた時、
私もその意味を理解する。
私は何を天秤にかけたんだろう。
周りのみんなが手に入れている……
……当たり前の……普通の恋愛。
『女にもいろいろあるのよ』
今なら哲くんにそう言えるかもしれない。
純也さんは過去にあれほどまでに好きになった人だ。
その人が、今、私をこんなにも好きだと言ってくれてる。
きっと、また……
好きになれる。
私は純也さんの首に腕を回した。
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