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夜中―――。
純也さんは私を抱いたまま穏やかな寝息を立てていた。
彼の腕を枕にしていた私はなかなか寝付けず、
彼を起こさないようにそっとベッドを抜け出した。
真冬の夜に布団から出ることは苦痛以外の何物でもないけれど、
この時ばかりはそうも感じなかった。
身震いしながらカーディガンを羽織って靴下を履いた。
サッシに近付いてカーテンをほんの少しだけ寄せてみる。
現れたサッシの曇りを指先で小さく拭って外を覗くと、
街灯に照らされていたのは予想通りの雪景色だった。
雪はもう十分に積もっていたけれど、
それでもなお、雪はやみそうになかった。
音もなく降り積もる雪を
私はぼんやりと眺めていた。
雪は……
雪だけは、
私の願いを叶えてくれるのかもしれない。
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