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夕食を食べ終わると、
食器を手にしてこたつから立ち上がる。
「コーヒーにしますか? それともお茶?」
純也さんへの言葉使いは時折敬語が混じる。
まだまだ彼女の場所に落ち着けない。
「じゃあ、コーヒー。俺がやるよ」
純也さんも一緒に立ち上がってキッチンでお湯を沸かし始めた。
私はその隣で食器を洗い、
いつもと違う彼の視線を感じながら胸の中がざわついていた。
彼は私が洗い終わるタイミングに合わせてコーヒーを二人分入れた。
私は一人の時はコーヒーは飲まないけれど、
純也さんがいる時は彼に合わせていた。
マグカップを両手で包みながら湯気を見つめていると、
純也さんも同じような仕草をしながら視線だけを私に向けた。
さっきと同じ視線にあることを予感する。
そして、間を置かずに予感は的中した。
「俺と鈴がつき合ってること……桜井に言ってもいいよね?」
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