包装

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スマホのストラップを揺らしながら、 美和ちゃんの目がキラキラと輝き始める。 彼女の勢いに圧倒されながら、 自分を落ち着けるためか、鼻で深呼吸して小さく頷いた。 「彼氏……できたの」 「ええ!? そうなんですか!?」 「……うん」 「そうなんだぁ。全然気づかなかったぁ。私、そういう勘はいい方だと思ってたんですけど」 美和ちゃんはいたずらっぽく笑った。 そして、すぐに真顔になって、前のめりになって尋ねてくる。 「で、どんな人なんですか?」 私はどう言おうか迷ってから、正直に答えることにした。 「……高校の時に好きだった先輩。再会したの。偶然」 「ええーーーー!!」 美和ちゃんの派手な声がロッカールームに響き渡った。 廊下まで聞こえていなきゃいいんだけど。 そんな心配をしながら焦って周りを見ていると、美和ちゃんが言った。 「それって、運命の人ですよね!」 私はその一言で静止した。
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