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美和ちゃんは着替え終わって化粧直しに取り掛かっていた。
私はやっと事務服のベストを脱ぎ終わったところだった。
「鈴先輩、バレンタインはどうするかもう決めましたか?」
美和ちゃんがパンパンに膨れた化粧ポーチを探りながら言う。
「あ、そっか……。もうそんなシーズンだね」
バレンタイン……。
たった今、思い出した。
一月末の今時分。
クリスマスが終わった途端に街はバレンタインカラーに染まっていた。
まだ二月にもなってないのに、と慌ただしく着飾る街に少々の忙しなさも感じていた。
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