包装

10/14
前へ
/39ページ
次へ
週末までの日々を何の変化もなく淡々とこなす。 月初を迎えて仕事も忙しく、 残業もしながらあっという間に金曜を迎えていた。 金曜も2時間の残業を終えて帰宅した。 金曜の夜は夜更かしを決め込んでいる。 この日も何をするでもなく、 ただいつもより長風呂をして、 顔の手入れも時間をかけて、 明日のことをぼんやりと考える。 純也さん、何時にくるのかな。 ご飯は何を作ろうかな。 そんなことを考えていたからか、 純也さんから電話があった。 「もしもし?」 「あ、鈴? ごめん。明日、仕事になって、その後もお客さんとの付き合いになっちゃって、明日は行けそうにない」 「……そっか」 なんだか肩の力が抜けて思わず漏れた声に、 純也さんは息をもらして笑った。 「……寂しい?」 そう聞かれたら選択肢はない。 「……うん、寂しい」 そしてもっともらしく付け足した。 「でも仕事だから。大変だけどがんばってね」 「わかった。ありがと」 私たちはそれから少しの間話をしてから電話を終わらせた。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1059人が本棚に入れています
本棚に追加