夢か現実か、それとも過去か

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私と純也さんは会ってから一言も言葉を交わしていなかった。 タクシー内で無言の二人は運転手にどんな印象を与えただろうか。 車窓から見える雪は粉雪だった。 雪を見慣れている私には雪を見ただけで、この雪は積もるだとか積もらないだとか、そんなことがなんとなくわかってしまう。 今夜の雪はすぐに辺りを真っ白に塗り替えるだろう。 アパートに着くと、つい先日健吾くんと一緒だった時と同じ場所にタクシーが停車した。 財布もスマホも持っていなかった私に代わり、 純也さんが支払いを済ませてタクシーを見送った。 タクシーが見えなくなると、 薄っすら雪が積もり始めたアパートの階段を上がる。 私たちはまだ無言だった。
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