夢か現実か、それとも過去か

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エアコンもつけっぱなしで出て行ったので、 部屋は冷えた二人を温かく迎えてくれた。 電気をつけると、少し散らかった私の日常が浮かび上がる。 実家から帰ってから放り投げた大きめのバッグの口は大きく開いて中身が見え、 化粧ポーチと本がその横に転がっていた。 こたつの上には飲みかけのほうじ茶と置きっぱなしのスマートホン。 部屋の隅には実家に行く前に部屋干しした洗濯物が下着と一緒にぶら下がっていた。 男性を招く準備など一つもしていない私の部屋で 純也さんと二人で立ち尽くす。 「……散らかっててすみません……」 やっと口を開いて出てきた言葉。 ダウンを脱ぎながら「座って下さい」と振り返ると、純也さんが私を抱きしめた。
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