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週が明けて月曜日。
覚悟はしてたけれど出社してすぐに美和ちゃんが駆け寄ってきた。
バレンタインの報告が必要らしい。
「鈴先輩! 結局プレゼントは何にしたんですか?」
「……私の……本当の気持ち」
別に答えを準備していたわけじゃなかった。
答えようがないのと同時に、
それしか答えがなかった。
美和ちゃんは勘違いして少し頬を赤く染めた。
「大人の女性って……そういうのもあるんだ。彼氏、すごく喜んだんじゃないですか?」
私は美和ちゃんには気付かれないように肩を落として笑顔をつくる。
「ちゃんと受け取ってくれたよ」
美和ちゃんに嘘をつくつもりはなかった。
だけど、自分でもこのことはしばらくそっとしておきたかった。
純也さんとの終わりは
自分が失恋した以上の辛さを含んでいたからだ。
私はその後、美和ちゃんから顔のほころぶ報告を聞いてから、バレンタインの話を終わりにした。
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