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駅で待ち合わせをして、
由奈の車で拾ってもらう。
由奈に店選びを任された私は何を思ったのか、
大晦日に健吾くんと一緒に行ったあのバーを案内していた。
その店はあの時と同じように落ち着いた佇まいで私たちを待っていてくれた。
週の真ん中、平日の水曜ということもあって、
店に入りると30代後半と思えるカップルが奥のソファ席にいるだけで、店内はあの時のように静かだった。
「素敵な店だね」
店内を見回す由奈に健吾くんと来た事実をまだ言えずにいた。
カウンター越しにバーテンが私たちをカウンターに案内する。
私たちはカウンターに落ち着いた。
何にしようか迷っている間に由奈はノンアルコールのカクテルを注文した。
ノンアルコールのモヒート。
ミントの風味が苦手な私は飲んだことがなかった。
私も由奈に合わせてノンアルコールにしようとすると、
由奈は「飲みなよ」と言ってノンアルコールのメニューをさげた。
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