きみと歩んだ日々。

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  ゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。..。.:*・゚  ハッ、と目を覚ました瞬間、目尻から涙がこぼれた。  ドットだらけの防音ボードの白い天井がうっすらと視界に広がり、やがて鼻をつんと刺激する消毒薬の匂いと規則的な電子音に気付く。  ……どこだ、ここ。  ベッドに寝かされているのは判る。でも、どうして?  寝返りを打とうとした瞬間、顔を何かが覆っていることに気付いた。  呼吸をする度シュー、シューと音がついてくる。呼吸器だというのは判るけど、何で俺がこんなもの……。  起き上がろうとした瞬間、腹がズキンと痛んだ。  身体中に力が入らないことに気付いて溜め息をつくと、ベッド周りを覆うカーテンの外で身じろぐ気配がした。 「……誰?」  呼吸器の中で声を出すと、ひどく掠れていて自分でも驚いた。  シャッ、とカーテンが開かれ、真っ白な光が飛び込んでくる。  眩しくて目を閉じると、「ごめん」と慌ててカーテンが閉じられる気配がした。 「……仁志くん、大丈夫? 痛い? 喉渇いてない?」  散々泣いた後の声。  目を開けずとも、俺はもうそこにいるのが誰なのか判っていた。  ……思い出した。  自分が、何をしたのか。  そしてそれは、何のためだったのか。 「今、お母さん呼んでくるね。あと、看護婦さんと先生にも……」  その声が遠ざかる気配に、俺は慌てた。  目を開けながら、唯一動きそうな手を伸ばす。  翻る影を頼りに、細い手首を掴んだ。  相手の困惑が伝わる。いつもの俺なら「ごめん」と言ってその手を離してしまうところだけど。 「……いかないで」  掠れたままの小さな声で、そう呟いた。  俺が手を伸ばし、「いかないで」と懇願するその先にいるひとは、身体ごとゆっくりとこちらを振り返った。  さっきの眩い光のせいで、暗くぼやけてしまって顔がよく見えない。 「でも……」  心配と、疲労と、不安と──色々なものが混じった声だった。  そんな声を出させているのは自分なんだと判っていたけれど、俺はどうしてもこの手を離すわけにはいかなかった。  ぼんやりと、でも少しずつ、見えてくる。俺の大好きな、彼女の顔が。 .
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