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陽香の弱いとこなら、知り尽くしている。
すると、陽香の口から小さな声が断続的に漏らされるようになった。
……これなら、もう言い訳もできないだろ?
「おかしなこと言わないで」
「仁志くん!」
さっきとは違う意味で顔を赤く染めた陽香は、完全に俺の右半身に身体を預けてされるがままだ。
再会したばかりの時、拒否されたのが嘘のようで。
それを考えると、ふいに胸がいっぱいになった。
「や、やだ」
「いいよ、こらえないで」
溺れるように口をぱくぱくとさせて、陽香はかぶりを振った。
脱力してもたれかけてくる陽香のその口唇を塞いで、俺はまた泣きそうになっていた。
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