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「浅海先生」
「おお!」
3人揃って病室を覗くと、浅海先生がぱあっと顔を明るくした。
浅海先生が喜んでいるのは、メグの顔を見ることができたからだと思う。
「あさみん!」
いち早く、メグが病室に足を踏み入れた。4人用の病室だから、そっと静かに。
私と涼太くんは浅海先生にぺこりと頭を下げるだけ下げ、病室を後にする。
2人以上のお見舞いは狭くなって迷惑になると思ったから。
メグがいるのに、私や涼太くんのどちらかが残るのもおかしい。
事件以来浅海先生とメグはゆっくり会えなかったから、2人きりにしてあげるのがいいと思うし。
涼太くんと顔を見合わせて、さっき受付で貰った案内を見た。
今日は、浅海先生と仁志くんのお見舞いのために病院へやってきたのだ。
「外科と整形外科、階数まで違うんだね。何が違うのかな」
「外科ってのは、薬じゃなくて手術とかで治療するところ。仁志くんは刺し傷だからこっち。整形外科ってのは、骨とか関節とか……運動器関係とかその外傷を治療するところ。浅海は骨折だから、こっち」
ぼんやりと呟いただけのことに即答してくれた涼太くんに、私は尊敬の眼差しを注いだ。
「すごいね、涼太くん」
「なんで」
「言われてみればなんとなく判るけど、普通咄嗟にその説明できなくない?」
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