そのくちびるから伝わるもの。

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  「だから……だめ……!」 「だめだよ、陽香……」  自分でも恥ずかしくなる程、甘えた声が出た。  けれど陽香にはうまい具合に効いたらしく、彼女の抵抗がぴたりと止まる。  陽香の服の中に侵入し始めた指先をどんどん進めつつ、俺はキスを繰り返しながら続けた。  目を開けて陽香の様子を窺うと、視線を感じたのか彼女もまたうっすらと目を開ける。バチリ、と視線が合う。  顔ごと逃げようとした彼女の視線を逃がすまいと、頭を抱えるようにしてもう一度その口腔に舌を挿し込んだ。 「ん、」  その声が甘えているようにしか聞こえなくて、俺は陽香の上あごをそのまま舌先で撫でた。 「だめだって……俺のだろ? 拒否なんて許さない」 「だ、って……仁志くん、疲れてる、って……」 「これは……別」  我ながら勝手な理屈だとは思うけど。  でも、これだって自業自得とはいえ、半月以上我慢を強いられてきた俺の心身に、陽香からのご褒美を与えて欲しいと思ってしまう。  そのまま陽香をベッドに座らせると、彼女は「もう……」と悔しそうに声を漏らしながら俺の腰に腕を回した。  傷に触らないように気遣ってくれるその手の動きに、頭の奥がぼーっとしてくる。 .
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