ご挨拶 その1

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「あの……」  そう声を掛けようとした瞬間だった。  彼女の部屋の扉が内側から開いた。 「やっぱ香織(カオル)か。お前声でけーよ」  そう言って中から現れたのは、彼女と同い年位の男性だった。  Yシャツを着崩し、たった今ネクタイを外しました、風な出で立ち。 「何だ。来てたの」 の言葉から、きっと彼氏なのだろうと察したが……真相は全く違っていた。  話ながら中に引っ込もうとする2人を慌てて引き止め、 「あの、私、502号室に越して来た池上です。あ、でも、私は嘉村羽子って言うんですけど……」  私がそんなバタバタな自己紹介を繰り出していると、 「何、何?」 と言いながら、中から男性が1人、2人……4人??? 「ちょっとー!アホみたいにゾロゾロ出て来ないでよ。羽子さん驚いてるじゃない」 と、彼女が彼らに向かって叫んだ。   確かに驚いている。  これは予想外の人数だ。
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