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校門での待ち伏せ。
そのまま有無を言わさず連れて来られた近くの公園。
覆い茂った草木の音が、ザワザワとこの空気を乱れさす。
「菖蒲、さっきから何なの?」
「あー、ああ……」
“話がある”
そう言って連れてきた張本人は、何かを考えてる様子でその先を一向に話そうとはしない。
「あたし、そんなに暇じゃないんだけど?」
無表情にそう言うあたし。
……この日あたしはある覚悟を決めて、学校へ来ていたんだ。
その覚悟とは、刹那に最後の別れを告げること……。
好きだけど、あたしじゃ彼を幸せには出来ないから……
だから、“自分の気持ちに正直になってほしい” そう言うつもりだった。
……でも今日刹那は、学校に来ていなかった。
だから今から彼の家に会いに行く。
今じゃないと……笑顔で最後の別れを言えない気がしたから。
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