懺悔

2/37
101人が本棚に入れています
本棚に追加
/37ページ
校門での待ち伏せ。 そのまま有無を言わさず連れて来られた近くの公園。 覆い茂った草木の音が、ザワザワとこの空気を乱れさす。 「菖蒲、さっきから何なの?」 「あー、ああ……」 “話がある” そう言って連れてきた張本人は、何かを考えてる様子でその先を一向に話そうとはしない。 「あたし、そんなに暇じゃないんだけど?」 無表情にそう言うあたし。 ……この日あたしはある覚悟を決めて、学校へ来ていたんだ。 その覚悟とは、刹那に最後の別れを告げること……。 好きだけど、あたしじゃ彼を幸せには出来ないから…… だから、“自分の気持ちに正直になってほしい” そう言うつもりだった。 ……でも今日刹那は、学校に来ていなかった。 だから今から彼の家に会いに行く。 今じゃないと……笑顔で最後の別れを言えない気がしたから。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!