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シャワーの後、部屋着に着替え、ダイニングに向かう。
キッチンから食欲をそそるビーフシチューの香りと共に、エプロン姿のユウが笑顔で出迎えた。
「寒いからさ、暖まって貰いたくてコレにしたんだけど……良かった?」
「ユウはお料理上手だもの。 何だって美味しいわ」
「レイが褒めてくれるなんて……。 槍でも降るかも!?」
「ふふ、降るわよ。槍が」
こわ…っと笑いながら云い、赤ワインで乾杯して食事を楽しむ。
直ぐに解れる肉を見て、かなり煮込んであるのが分かった。
彼をチラ見すると、嬉しそうに微笑んでアタシを見てる。
「……食べないの?」
「食べる。……つか、味見で腹一杯になった」
「なによ。味見なんていいから、一緒に食べたいわ」
「そんな云うなよ~。 やっぱレイに旨いモン、食わせたいじゃん」
「………バカ」
へへっと笑い合いながら、幸せを感じた。
アタシが幼少から独りで食事をしている事を知った彼は、仕事以外はこうやって作って一緒に食卓を囲んでくれる。
お金で買えない幸せがあるって
教えてくれたのはユウだった。
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