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お腹も満たされ、彼に癒やされ
スッカリご機嫌になったアタシは、シンクで皿を洗うユウの背中に擦り寄る。
「ッッあぶね。どした?」
チラッとアタシの様子を窺い、皿を洗う手を止めた。
「ホント、何も出来ない女でごめん」
アタシをキッチンに立たせない彼。
「芸能人様が怪我でもしたら、大変だ。
歌手は手が綺麗じゃなきゃダメ」とか云って、家事を全部してくれる。
「今更、なんだよ。らしくねーな」
「家の事も出来ない上に、クリスマスも一緒に過ごせないなんて……」
「はは、気にすんなって」
ーーーそんな風に云われても
アタシが嫌なのよ。
「クリスマスはキリストの誕生日! 他人の誕生日なんて、普段は気になんねーだろ? それと一緒だって」
「キリストは人じゃ無くて神よ」
「あー、ははは。わり、俺無宗教」
「……常識よ」
「……だから、落ち込むなって」
濡れた手を拭いて振り返る。
顔を見るより、胸に抱き付いた。
「ホント、……今夜のお嬢は、センチだな」
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