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動揺は収まらないまま、午後の撮影が始まった。
私は内心、御園さんの動向が気になって仕方なかった。
けれど、この場を壊すことだけはしまいと、必死に隠して指示を出す。
仕事は仕事だ、と自分に言い聞かせながら。
当の彼女は素知らぬ顔で、私の方を見向きもしない。
時折、クライアントと談笑したり、頻繁に長瀬を呼んで撮影について尋ねたり……その動きは何の問題もないように見えた。
時間に余裕がない分、テキパキと進めなければならないことはスタッフ全員が承知していたからか、進行は午前よりもスムーズに運んだ。
周囲に感謝しながら進めるなかで、私も徐々に自分のペースを取り戻し……何とか午後の撮影を乗り切ることができた。
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