1517人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
長瀬が忙しいなかでも、すんなりとこの案件に入ってくれたのは。
『気にすんな』と言って笑ってくれていたのは。
御園さんがいたから、だったとしたら。
御園さんが長瀬にだけメールを送ったり。
何かと電話をかけてきていたりしたことも…すべてが繋がる。
私の知らない、ふたりの姿。
考えれば考えるほど、あのシーンが目に焼き付いたように離れない。
重なる影。
甘い声。
長瀬に絡み付く腕。
嫌だ。
やめて。
叫び出したいくらい、胸が痛い。
まるで心を直接切りつけられたみたいだ。
頭を抱えて必死に耐えるけれど、意味を持たない音が口から漏れるのを止めることはできなかった。
.
最初のコメントを投稿しよう!