【第22話】衝突と衝撃

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  長瀬が忙しいなかでも、すんなりとこの案件に入ってくれたのは。 『気にすんな』と言って笑ってくれていたのは。 御園さんがいたから、だったとしたら。 御園さんが長瀬にだけメールを送ったり。 何かと電話をかけてきていたりしたことも…すべてが繋がる。 私の知らない、ふたりの姿。 考えれば考えるほど、あのシーンが目に焼き付いたように離れない。 重なる影。 甘い声。 長瀬に絡み付く腕。 嫌だ。 やめて。 叫び出したいくらい、胸が痛い。 まるで心を直接切りつけられたみたいだ。 頭を抱えて必死に耐えるけれど、意味を持たない音が口から漏れるのを止めることはできなかった。 .
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