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……不意にパチン、と小さな音がして。
真っ暗だった手洗いに、光が射した。
「……澪せんぱーい?」
「っ……」
ユリナちゃんの、声だ。
私は慌てて目をこすり、場を取り繕うようにトイレの水を流した。
「なに、どうしたのユリナちゃん?」
何事もなかったようなフリをして、返事を返す。
私がいることに驚いたのか、ドアの向こうのユリナちゃんが「わっ!」と言ってから応えてくれた。
「なんで電気つけないんですかぁ! もう、びっくりしたぁ!」
「ああ、ごめんごめん」
動揺しすぎて、電気をつけ忘れたことさえ、気付いていなかった。
なんて、言えるはずもない。
流水音が途切れると、ユリナちゃんが言う。
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