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「……ひどい、顔」
自嘲の笑みすら痛々しい。
私は落ちかけたマスカラを拭って、崩れた化粧をその場でできる限り修正して。
最後にパチン、と両頬を叩いた。
「よし!」
さっきのことはもう、忘れよう。
いまはそんなプライベートな問題に煩わされている場合じゃ、ない。
さあ、仕事だ、仕事。
ユリナちゃんが来てくれて良かった。
下手したら私、ここで泣き崩れてしまっていたかもしれない。
……はは、キャラじゃない、って。
無理矢理にでも小さく笑うと、私は駆け足でスタジオへと戻った。
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