【第22話】衝突と衝撃

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  スタッフの紹介と、今回の案件やビジュアルの説明が終わり、いよいよ撮影が始まった。 基本的には私がメインとして舵を取り、長瀬やユリナちゃんには必要なタイミングで助けてもらうことになっている。 撮影が始まると、私は主にカメラマンの隣で指示を飛ばすことが多くなる。 その間、ユリナちゃんにはそっとお茶を運んでもらったり、長瀬にはデザインの話や撮影データを開いて見せる役割を担ってもらったり、と。 会話をしながら、とにかく、クライアントが手持ち無沙汰にならないよう、心がけてもらっていた。 そうやっているうちに、クライアントから様々な要望が出ることも多い。 『もう少し商品寄りの方がいい』とか、『こういうカットもおさえてほしい』とか。 何度も確認して決めたカットだけれど、現場で意見が変わってしまうこともあるのが現実だ。 実際に使うことがあるかどうかは別として、様々な素材に使えそうな写真を多く欲しがるクライアントは少なくない。 そのすべてに応えることはできないけれど、出来ることにはきちんと応えて。 最初に作り上げた世界観を壊さないよう、必死に場を仕切る。 .
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