第一章 再会

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第一章 再会

「この先のこと考えると憂鬱だなぁ」 机に肩肘をついて、ため息混じりにこぼした。 「ミイ、どうしたのよ」 向かいに座るケイが話しかける。 金曜日。柔らかな陽射しが差し込む昼下がりのオフィス。 「明日も義父(ちち)を病院に連れていくの。その後買い物して、家の片付けをしていたら土日なんてあっという間よ。」 「うちも同じよ。週末なんて家のことをしていたらあっという間。テレビでちびまる子ちゃんが始まると明日から仕事かぁとため息がでるもの」 「ケイのところは、まだ義父母(ごりょうしん)が元気だから。うちなんか、義父(ちち)が調子を悪くしてから、最近は義母(はは)まで元気をなくしちゃって。家の雰囲気が暗いの」 「だんなは何て言っているの・・・」と言いかけたところで電話が鳴った。 ケイはすばやく受話器を取り、いつもの通り明るく慣れた対応をする。 ミイは悩んでいた。 名古屋市内にある事務用品を扱う商社の経理課に勤務するOL。 結婚して15年。市内に一人息子の夫とその父母と一緒に住み始めて3年。 同居を決めたのは、義父が体調を悪くしたためである。 当初は義母がほとんど家のことをやってくれていたが、義母も高齢により年々弱々しくなってきたのが手に取るように解る。 殊に最近は、義母の元気がない。 話しかけても要領を得ない返事があることもあり“認知症の兆候では”と、うがった見方をしてしまう。 そんな雰囲気が伝わるのだろうか、義母の顔からは笑顔が消え、賑やかだった団欒は、テレビの音だけがむなしく響くことが多くなった。 会社で働いているときは、気持ちも紛れるが、帰宅すると義父母の面倒をこれからどうしていけばいいのかが気になって途方にくれてしまう。 夫に相談はするが、なんとかしてあげたいと思うがゆえに、何をしたらいいのか、なかなか妙案は浮かばない日々が続いていたのだ。
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