第一章 再会

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「それをワイさんがやってくれるの」 「私に後見人を依頼するのであればやりますが、成年後見人になる資格に法律上の制限はありませんので、法人を後見人に選任することもできますし、複数の後見人を立てることもできます。」 「そうなの。でも、よく考えればうちは家庭円満だから後見人なんて使わなくてもいいかも」 下手なことを言って、勝手に話を勧められて報酬を請求されても馬鹿らしい。 「そうですね。ご家族で解決できるなら、そのほうがいいと思います」 ワイは淡々と答えた。  売り込みを警戒しながらミイは、窓の向こうに家路を急ぐサラリーマンが足早に過ぎていくのを眺めていた。 【ワンポイント講座 1】 成年後見制度の理念 (1) ノーマライゼーション  ノーマライゼーション=ノーマル(普通)な生活をすると意味です。  認知症の高齢者・障害者だからといって特別扱いをしないで、今までと同じような生活をさせようとする考え方です。後見人は、どの部分を補って支援したら、それが実現できるのかを考えて支援しなくてはなりません。 (2) 自己決定の尊重  本人の自己決定を尊重し、残された能力を活用しようという考え方です。普通の生活や、本人のこれまでの生活歴、環境、本人の希望、保護する立場などを総合的に判断します。後見人の知識や経験、資質が問われます。   (3) 身上配慮義務  その人の生活を支えることが後見人の役割とする考え方です。どういう医療を受けたら良いのか、どういう介護・福祉サービスを受けたら良いのか、そのために財産をどう使ったら良いのか、後見人が決定します。そのため、本人の状況を把握して配慮する義務が課せられています。
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