探偵は振り向かない

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ほんのり赤いお月様の下、白ひげに血濡れの服を着た陽気な若者が遊歩している。どうしようもないくらいに陽気な若者なのだが、白いひげがやけに目立つ。 あの真っ赤な服はなんだ。悪趣味な。吐く息が白く、ぽってり照れた顔をしている若者を見て何故だか既視感。ハッとした。そうだクリスマスだ。 白雪がチラチラ舞う中、思いを馳せる。寒冬だからといって下ばかり向いてはいられない。 ビューッ、木枯らしだ。寒い。 逆巻く風が枝に張り付く葉を揺らす。色付く葉もいつかは枯れ落葉となる。季節はサイクルするもの。じっと病葉が揺れるのを待つ。 待ってどうする? ドウナッテ? ドウナッタ? 待って、月を跨いでも、流れは何一つ変わらなかった。なんとも世知辛い世の中だこと。男は自嘲気味に笑い飛ばす。  
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