アドルフ・ヒトラー

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ヒムラーの奴…!! 私は親衛隊のヒムラーから貰った青酸カリのカプセルを噛んだ瞬間、腹の中に熱い怒りを感じた。 カプセルの中をいっぱいに満たしていたあの怪しい液体は何のことはない、ただのハチミツではないか! ダメだ、このままでは死ねない。 手っ取り早くピストルでと思い、ピストルを手に取った私は落胆してしまった。 なんと、一緒に心中すると言った恋人が一発で死ねず、結局三発も撃った。 ピストルにはもう弾は残されていなかった。 私は膝から床に崩れ落ちた。 一体どうすればいいのだ。 恋人も愛犬も殺してしまった。 私が自殺すると知った側近も部下逹もみんなこの地下壕から避難してしまった。 そしてもうすぐソ連軍が攻めてくるだろう。 ソ連軍に殺されるなんて…。 たまらなく悔しいが、もうそれしかないのかもしれない。 殺される前に相手のピストルを奪って自殺するという手もある。 私は仕方なくソ連軍を待つことにした。 外では激しい戦闘の音が聞こえている。 もうドイツ軍は全滅してしまったのだろうか。 一人でも残っていてくれれば、ピストルでも爆弾でも貰えるのに。 しかしすでにソ連の手に落ち、荒廃したベルリンでそれは期待出来なかった。
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