~嵐の夜に、距離縮まる~

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信秀の場合ー 季節は夏が過ぎで、秋になっていた。 ゆりちゃんにはもう会うことはないだろう。俺はそう思った。 俺の言いたいことは全部言ったと思う。 それで駄目なら仕方ないさ。 流されたらだめ、とか、拘りを持ってないとだめ。 って良く言う。 俺は、 流されない、なんて思うことはない どれだけ、自分が拘りを持っていても 好きな人に言われたら今までの自分の価値観なんてものは幾らでも揺らぐ それが、恩師だったり、恋愛だったりする。 自分っていうものはそれだけちっぽけなものなんだ。 6月以降俺は大きな案件を請け負っていた。 製作に追われ、毎日寝るのは数時間。 家に帰ることもできない日々が続く。 何日も缶詰になり、また仕事をする。 不思議と辛いと思うことはなかった。 充実した毎日だった。 そんなある日の午後ー ゆりちゃんに出会った。
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