神罰の声は高らかに

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 ユーリスの言葉遊びが大変効いているようだ。 「はぁー、せやから、無理やねん。どこもかしこもてんわやんわで人手が足りん、改革と言うんは面倒事ばかりや。それに、神の国は争いごとには敏感すぎるくらい敏感な国や、勇者一人でも許したのは奇跡みたいなもんやで。聞いた事ないか? 非戦闘員ばかりを使者に指名する話、危険を冒すことは極力避けるのが国風みたいなもんやからな」 「それこそ馬鹿ね、自国の戦力はあり余ってる癖に」 「巨大な国やからプライドもあるし、天使の術やて色んな国に役立てるように捕縛陣の配布はそう簡単にできるもんやない。犯罪者を確実に捕らえられて破られもせん、まさに人には到底及ばない領域のもんや」 「私達が一時的に解除だけで、神の国は完全解除の術を持ってるかもしれないわ。そもそもその捕縛陣だって怪しいものよ」  人の役に立つ、その素晴らしさをティアナは説くがユーリスは真っ向からそれを否定する。  その行為にティアナは反論しようと口を開くが言葉は出てこずに頭をかく、疑問に思わないということが危険なのだとカオルが言っていたしクリス姫も違和感があると口に出していた。  盲目にあるものを信じるというのは危険を孕むことを知り、邁進すると決めたばかりで押し付けも正義とは限らないと視野を広げたティアナは疑問符を持つようになっている。  今回だって勇者の指名、非戦闘員どころか言葉は悪いが化け物をわざわざ指定する意味、最初はラッキーだと思っていたが疑問符が頭の中を駆け巡ってきているのもあるのだ。文官を数名、それを遣わせ勇者であるカオルである必要性があまり感じられず違和感を隠し通してきた。
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