神罰の声は高らかに

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白と黒で統一された礼式の軍服が異質であることを示し、その男女が自らに嵌められた手袋を外した瞬間に世界が変容した。  周囲は全く変わっていない、だが確かに、世界が変わったのをカオルは直感する。  何故なら女の右手から白く淡い魔力が噴き出て、男からは黒く濃い魔力が滲み出ているのだ。その様子は一般人にも見えるようでカオルの視界内に映る人々は苦虫を噛み潰したような顔と神を拝むような視線など、人間味というのが出てくるのだ。  違和感はそれだけでは無かった、カオルの視界内に入った人々にも変化が起こる。白、白、白、淡く立ち昇る魔力が一人、また一人と増えていく様子はまるで判決が出たようにも窺える。  白い魔力が立ち昇ると安心したように安堵の溜息を零す者、神に感謝する者、祈りを捧げる者、悪しき心が無いことに心の底から感謝している様子が見れたのだ。  最後の一人が淡く白い魔力を立ち昇らせ、その場に居る者らが未だに白とも黒ともつかない魔力を一切発していないカオルへと視線を注いだ。  それを見ていたようにカオルの魔力がその色を噴出そうとしていた。
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