物語の準備

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ほう、と少女は期待した様子で紅茶を見て――――顔を歪めた。 「知ってるかしら? 紅茶は紅いのよ。決して青くないのよ。……というか何入れたの!?」 「…………。体にいいものです」 「明らかに毒なのだけど。だいたいあなたはいつも変な物を入れすぎ!」 二人の会話がヒートアップし始めると、女性は咳払いをし、責めるような目で少女を見る。 その目を見てようやく本題を思い出したのか少女は話題を変える。 「そうそう、実はあなたにお願いがあるの」 「私はお嬢様の従者です。お願いと言わず何なりとどうぞ」 「あら、素晴らしい従順っぷりね。お願いっていうのは実は私からなの」 はあ、と銀髪の少女は胡散臭げに女性を見る。 そんな視線に傷ついたと言わんばかりに女性は不満そうな顔をする。 「まあそう警戒しないで。ただちょっと猫探しをしてほしいだけなの。私の式神が逃げちゃってね。多分、湖の近くの湖の方に行ったわ」
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