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「どうかしら? 夜の散歩がてら行ってみない? 今日の仕事はこれで終わりでしょ?」
銀髪の少女はしばらく思案した後、承諾した。
やがて銀髪の少女は礼をして、去っていった。
少女はポツリと漏らす。
「……うまくいったわね」
しかし、そう言いながらも少女の顔色は晴れない。後悔の色が滲んでいた。
女性はそれに気づきながらもあえて無視した。
「ええ、本当に。きっとあの子も彼との再会を望んでたはずですもの。よかったわ。運命が楽しみね」
フフフ、と胡散臭い笑みを浮かべながら闇に溶けるように女性は消えていった。
少女は大きく舌打ちする。
不意に、鐘の鳴る音がする。
ボーン。ボーン。部屋に備え付けられた大きな時計が夜の訪れを知らせる。
いつもなら喜ばしいはずのその音はやけに彼女の不快感を煽った。
何かが、始まろうとしていた。
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