◇◇ 第12章 彼の誕生日 ◇◇

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「璃子!どうして嘘をつくんだ?」 「……」 「誕生日に俺のマンションに来て、また嫌な思いするんじゃないかと思ってたんだろ?だったらなんで素直に言わないんだ」 「なんでそれを?」 「俺を誰だと思ってる?璃子の嘘なんてお見通しなんだよ」 「……」 「いつ本音で話してくれるかと思ってたんだけど」 ……敵わない。 和也さんは、最初から騙されたフリをしてくれてたんだ。 弱いあたしの心も全部。 すべてを包み込んでいてくれていた。 「ごめんなさい」 「もっと俺を信じて甘えろよ」 見上げた和也さんの顔は、呆れた表情でありながらも、優しく微笑んでいた。
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