◇◇ 第12章 彼の誕生日 ◇◇

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「璃子。おいで」 優しい笑顔でそっと抱き寄せる。 「俺……まだ1番大切な人に祝ってもらってないんだ」 えっ…… 「今日会う大切な人って?」 「あっ、坂本に聞いたのか?」 「村上姉さんに」 「俺の大切な人って言ったら?」 「言ったら?」 ふと見上げると、優しい笑顔をたたえた和也さんが、じっとあたしを見つめている。 答えを聞かなくてもいいよね? 「……お誕生日、おめでとうございます」 和也さんは、ギュッとあたしを抱きしめ、耳元で囁いた。 「ありがとう。璃子」 そして、そっとキス。 すべてがフリーズするくらいの甘いキスを落としてくる。 何度も何度も角度を変えて、そっと優しく包み込む。 あたしは、すべての不安から解放されて…… 和也さんに包まれた。
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